中国でVPNやShadowsocksの利用は違法ですか?中国IT・通信の専門家がお答えします(前編)

 

中国にお住まいになる日本人の皆様にとって気になることの一つに、中国でのVPNやShadowsocksの利用は違法なのか?という質問があります。

この質問に答える前に、まずは「中国の中から『正式』にGoogleやInstgram、LINE等を使う方法はあるのか?」という疑問に答えたいと思います。
その上で「中国でのVPNやShadowsocksの利用は違法なのか?」という質問に対して回答をしていきます。

中国の中から「正式」にGoogleやInstgram、LINE等を使う方法はあるのか?
答えは「あります」。

中国国内においては、通信事業に関する経営許可証があります。

「増値電信業務経営許可証」と言います。
以下は「Peach Network」のパートナー企業が保有する正式な許可証です(許可証番号や企業名等は画像から削除しています)。

VPNを提供する経営許可証・増値電信業務経営許可証

以前の日本にもあった第一種通信事業、第二種通信事業の許認可と似ていますが、中国においてはこの経営許可証の審査は非常に厳しく日本を含む外資系企業では取得がほぼ不可能です。

そしてこの厳しい許認可である「増値電信業務経営許可証」を持つ通信会社だけが中国国内において正式にVPNを含む回線サービスを提供することができます。
中国当局も公の場においては「当局の許可を得た回線・サービスにより海外のインターネットを利用することも可能」と通達を出しているようです。

中国国内でVPNを含む正式な回線・通信サービスを利用する4つの条件があります。

  1.  中国国内の「増値電信業務経営許可証」を持つ通信会社が提供するサービスであること
  2.  この通信会社が顧客となる企業もしくは個人と直接に通信サービス契約を締結すること
  3.  顧客となる企業もしくは個人がこの通信会社に直接に料金を支払うこと
  4.  この通信会社が通信サービスの名目で発票(領収書・中国では発行時に科目等が税務的に明確に決められている)を発行すること

要するに、正式に許可証を持つ通信会社が提供するサービスを直接に契約してお金を支払い、発票(領収書)を受領しているということになります。

もし、これをお読みになられている中国在住の日本企業の責任者様であれば、自社・自分が利用しているサービスが正しいものであるのか否かを確認したいと考えることでしょう。
これは簡単です。
自社・自分が契約をしている通信会社に中国の経営許可証を見せて欲しい、そして現在提供を受けているサービスがその許可証に基づいているのかと確認をすればよいのです。

逆に言えば、この条件にあてはまらないVPNや回線・通信サービスは違法であると言えます。
「増値電信業務経営許可証」を持たない一般的な中国のIT会社がVPNを提供し、企業や個人がそのIT会社にお金を払い発票の発行を受ける、これは完全に違法です。

問題は、上記条件を満たす回線・通信サービスは一般的に高価格であることから個人や中小企業の利用は現実的ではないことです。

では、個人や中小企業は、中国においては正しいVPNの利用方法は無いのでしょうか?
本来の正式な形態ではありませんが、条件の解釈の仕方によっては、VPNを利用することも可能です。

例えば、条件1についてVPNを含む通信サービスを提供する会社が中国国内の通信会社ではなく日本の通信会社であればどうでしょうか?
ドコモもauもソフトバンクも中国国内において日本のインターネットに直接接続するためのサービス(ローミング)を提供していますし、海外旅行者向けSIM販売会社や空港等でレンタルモバイルWiFiルーターを貸し出す会社も、中国国内でGoogleやLINEが利用できるサービスのアピールをしています。

ローミングやモバイルWiFiレンタルルーターサービスなら中国でも正式にGoogle等が見られる

もちろんそれらの会社は、中国国内の正式な通信会社と契約をした上でサービスを提供しています。
しかし、その契約の中で中国国内でGoogleやLINE等が利用できることを明確に許可する項目はありません。
あくまで中国の通信会社、ひいては当局の黙認状態でGoogleやLINE等の利用が可能になっているということになります。

これと同等に解釈をするなら、日本の通信会社が提供する一般的なVPNやShadowsocksサービスはどうなのでしょうか?
日本の通信会社が提供するVPNやShadowsocksサービスを、日本の会社や個人が中国で利用することそのものは基本的には問題ありません。
これが違法であれば、日本の会社が提供する日本のWebサイトを中国から見るという行為も違法になってしまうことでしょう。

しかしながら、これもあくまで法律の解釈であり、解釈の仕方が異なれば(つまり中国当局側の見方が変われば)違法になってしまう可能性があるというものになります。

結論は、中国でVPNやShadowsocksの利用は違法とは言いきれないが完全に適法でもない、あくまでグレーなものとして利用するしかない、というところでしょう。
万が一、何らかの形でVPNやShadowsocksの利用をとがめられるようなことがあれば、日本の会社が提供するサービスを一時的に利用していると伝えて、そのサービスの利用を停止するしかないのでしょう。

次回の「中国でVPNやShadowsocksの利用は違法?(後編)」では、実はVPNやShadowsocksの利用が問題なのではない!違法か否かの境界線は別のところにある!という話をします。

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※本記事のイラストは「イラストAC」からダウンロードして利用させていただいています 。